子供の中学受験の勉強を見ていると、
「国語の問題はもちろんのこと、他の教科でも問題文の理解がいまいちなのよね」
と子供の「読解力」を嘆きたくなる時ってありますよね。
読解力が重要なのは分かっているけど、いざつけようとしても、どうすればよいか分からない。でも日常生活でちょっとしたことを取り入れるだけで読解力をつけていくことができます。
この記事では、そんな日常生活で楽しく読解力をつけるおすすめの方法を紹介します。
中学受験の初期段階で読解力がなくて苦労したものの、有名進学校に合格できた筆者だからこそ、この記事で紹介する方法はおすすめできます。ぜひ取り入れてみてください。
おすすめの方法が先に気になる方は、こちらから一気に項目までジャンプできます。
読解力は色んな学問の基盤になる力
子供の「読解力」が乏しい状態では、こんな感じで国語のテストで困ったりすることってありますよね。
「著者の気持ちや何を言いたいのか分からない」
「"これ"、"それ"とかが何を指しているのか分からない」
国語どころか、他の教科の文章題でも…
「そもそも問題で何を聞かれているのか分からない!」
ってなことが、読解力不足のためしばしば起きます。
しかしこの読解力というもの、学校の勉強やテストや受験はもちろんのこと、今後色んなことを学んでいく上で基盤となる非常に重要な能力です。
何としても身につけたい!
日本全体で読解力の低下は起きている
何としても身につけたい能力である読解力ですが、
「自分の子供には読解力がかなり足りないけど、周りの子から置いてけぼりになってないかな」
…なんて悩まなくて大丈夫。自分の子供だけではなく、現状の日本は、世界に比べて数学や科学ほど読解する力が優れているとは言い難い状況です。
OECD(経済協力開発機構)が進めているPISA(Programme for International Student Assessment)と呼ばれる国際的な学習到達度に関する調査で、15歳児を対象に読解リテラシー、数学的リテラシー、科学的リテラシーの3分野について3年毎に本調査を実施。その調査では、現状の日本においては以下のような結果が出ています。
調査年度(対象国数) | 読解リテラシー | 数学的リテラシー | 科学的リテラシー |
2012年(65ヶ国) | 4位 | 7位 | 4位 |
2015年(72ヶ国) | 8位 | 5位 | 2位 |
2018年(79ヶ国) | 15位 | 6位 | 5位 |
なお、ここで言う読解リテラシーは次のように定義されています。(数学的リテラシーと科学的リテラシーの説明はここでは割愛)
自らの目標を達成し、自らの知識と可能性を発達させ、社会に参加するために、テキストを利用し、評価し、熟考し、これに取り組むこと。
「OECD生徒の学習到達度調査2022年調査 パンフレット」より抜粋
調査結果を見る限り、現在の日本の読解力に関しては世界的に見てもトップ級ではないことが分かります。それどころか毎回順位を落としています。残念…。
つまり、多くの子供たちが読解力に関して少々悩んでいる状況のようです。だから自分の子供だけできていないと悩むことはありません。
でも、こんな状況だからこそ、しっかりと読解力をつけるということは、ライバル達に差をつけるチャンス!
それでは、どうやって読解力をつけていけば良いのでしょうか?次で紹介しますね。
日常生活で楽しく読解力をつけるおすすめ方法|漫画や雑誌も使えるよ!
読解力を3つの力に分解
読解力と言っても少し漠然としているので、もう少し細かく分解すると、読解力とは次の3つの力の集まりなんです。
読解力を構成する力
- 文章から字句を意味のある単位で探して、取り出す力
- 見つけた字句を理解して、お互いつなげる力
- つなげた内容を評価する力
読解力とはどういうものか少し見えてきたのではないでしょうか。
それでは、上記のような力をつけるのにわざわざ勉強するのではなく、日常生活で楽しみながらつけていく方法を次から紹介。
読解力をつけるための4つの基本的な作業
読解力をつけるには、次に上げる4つ作業が基本となります。右のカッコ内の数字は、前節の赤い四角で囲まれた「読解力を構成する力」の数字にあたります。
読解力をつける4つの作業
- 音読する ← 字句自体を目だけでなく、耳からも取り入れる(1と2)
- 辞書を引く ← 文章から字句を取り出し、理解する(1と2)
- 要約する ← 文章の内容を評価する(3)
- 対話する ← 文章の内容を評価する(3)
この4つの作業で、上記の「読解力を構成する力」で上げた3つの力の訓練をしたことと同じことになります。
では、次にどのようにして日常生活に取り入れていくかです。勉強と感じさせずできれば、子供の負担にもなりませんよね。おすすめの方法は、親の方に少し努力が必要となります。
日常生活で読解力をつけるおすすめ方法
ずばりその方法を言うと、それは親が子供と同じ本を読むということ。なお、子供が本を読む時は、声は大きくても小さくても良いので音読させましょう。
本の種類は、子供が楽しめて読めるものならなんでも良いです。小説、絵本に限らず、漫画や雑誌でもOK!
漫画を敬遠する親は意外と多いと思いますが、コマを追いつつ内容を理解するという点では、実は子供にとっては結構大変(大人は慣れているため、ある程度読み飛ばしたりする)。もちろん満遍なく色んなジャンルの本を読めれば、その方が理想的ではありますが。
筆者の一言
私も小さい頃から大人になった今も漫画を読み続けています(最初は親にすすめられた笑)。大人になった今考えても、漫画がマイナス要素になったと思う節はありません。それどころか、読解力だけでなく絵の勉強にもなっていいですよ〜。
方法論の続きですが、子供と同じ本を読んだ後は、その本について子供と一緒に話し合いましょう。
この時、「あのキャラクター、あの後どうしてたかな?」「なんであんなことしたのかな?」と聞いて、子どもなりに要約した答えを引き出してみましょう。これ実は、内容を把握して要約できていないと、うまく答えられないんです。
筆者のアドバイス
答えられなさそうであれば、親の方から言葉の助けを出すことで、子供も徐々に意見をまとめることがどきるようになってきます。ここは、親の根気が大切。
また会話を多くしていると、本を読んでいる途中で言葉の意味を聞いてきたりします。これは「②辞書を引く」作業の代わりになるものなので、面倒くさがらずに丁寧に答えましょう。子供が語彙力をつけるチャンスです。
筆者のアドバイス
辞書の意味をそのまま伝えるのではなく、できる限りの分かりやすく説明してあげましょう。ちなみに、同じ言葉を何度も聞いてくることがありますが、毎回怒ることなく答えることも大事です。
意外と親の負担が大きいですが、親と共通の趣味が出来たような感じになり、子供としては会話が楽しくなってくるはずです。こうなる事ができれば、読解力を日常の中でつけていく目的は達成です。
この他、子供が自ら、興味ある言葉や分からない言葉を辞書で引いたり、読書感想文のようなものも書ければ最高ですが、まずは会話をすることで読解力をつけていきましょう。
日常生活で読解力をつける方法のまとめ
最後に前節を簡単にまとめておきますね。
おすすめ方法のまとめ
- 親が子供と同じ本を読む。読む本は、小説、絵本に限らず、漫画や雑誌でもOK!
- 子供が本を読む時は、声は大きくても小さくても良いので、音読させる。
- 読んだ本について子供と一緒に話し合う。
- 子供に本の内容を聞いて、子どもなりの要約した答えを引き出す。
- 本の中で出てくる語句の意味を聞いてきたら、面倒くさがらずに丁寧に答える。
小学生の読解力を日常生活でつけるおすすめ方法のまとめ
読解力は、すぐに目に見えてつくものではありません。しかし、地道な努力でついてくるものですし、その能力が高ければ高いほど勉強以外にも役立つ場面は非常に多い。
やや親に頑張ってもらわなければなりませんが、後々に子供が自力で学んでいくためには必要な能力なので、やりがいはあります。
それどころか、子供がしっかりと大人の言葉での会話ができるようになってくるので、子供との会話が楽しくなってきますよー。
もし中学受験の心構えに興味のある方は、以下の記事もぜひ併せて読んでみてください。
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